医療機器該当性の判断を
練習しよう

6.特定の疾患を対象とした事例

ここでは特定の疾患を対象としたいくつかのプログラムを並べて、これまでに見てきた該当性の考え方に基づいて、その使用目的や提示する情報の違いなどから、該当性にどのような違いが生じるのかを見ていきます。

糖尿病を対象としたプログラム

クイズ11

ケース A医療従事者向け糖尿病管理プログラム。
医療機器に「該当」する?

医療従事者向け糖尿病管理プログラム

使用者

医療従事者

製品概要

血糖測定器等から得られたデータを基に、糖尿病治療の効果の分析及び評価を支援するプログラム。血糖変動指標等、公知のガイドラインに定められたものではない新たな指標の提示を行う。

正解はこちら

該当

医療機器該当性の
判断のポイント

医療機器から得られたデータをプログラムが独自に処理し、治療効果等の評価に寄与する新たな指標を提示するものである。同機能をもつ既存の医療機器プログラムが存在する。(一般的名称「糖尿病診断補助プログラム」)

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P1-2「1 医療機器に該当するもの 1)入力情報を基に、疾病候補、疾病リスクを表示するプログラム ①⑤」参照

- 解説 -

このプログラムは糖尿病治療の効果の評価に用いることや、独自のアルゴリズムによる新たな指標の提示を行うことから該当となります。加えて、同機能を持つ既存の医療機器がクラスIIの一般的名称「糖尿病診断補助プログラム」として存在することからも該当と判断されます。

クイズ12

ケース Bインスリン投与量算出支援プログラム。
医療機器に「該当」する?

Aインスリン投与量算出支援プログラム

使用者

患者

製品概要

医療機器(グルコースモニタシステム等)から得られた情報を入力して記録として用いるとともにグラフ化して表示する。あわせて食事内容・運動内容・服薬情報、体重、血圧等を記録する。医師から送信されたインスリン投与量、一般的なコーチングメッセージを表示し、服薬アドヒアランスを支援する。

Bインスリン投与量算出支援プログラム

使用者

医療従事者

製品概要

患者がAで記録した情報を基に、独自のアルゴリズムに基づいて、血糖値の推移又は傾向に関するデータの加工を行い、糖尿病の状態及び治療の効果を分析し、インスリン投与量を決定するための指標を算出するプログラム。さらには、医師が決定したインスリン投与量、コーチングメッセージ及びHbA1c 変化量等も患者側アプリに送信する。

正解はこちら

A: 非該当 B:該当 ただし一体不可分な場合はAとBとセットで該当

医療機器該当性の
判断のポイント

A非該当

  • データの記録及び管理、医療従事者からのメッセージの表示が目的であり、疾病の診断または評価を行うものではない。※1
  • 服薬アドヒアランスの支援については一般的なアドヒアランス向上の取り組みの範囲内であり、本プログラムを用いることによるアドヒアランス向上の結果として治療効果の改善などを標榜するものではない。※2

B該当

インスリン投与量を算出するために必要な指標を、独自のアルゴリズムで算出するプログラムである。※3
患者向けにインスリン投与量、コーチングメッセージを送信する部分のみに着目すれば、非該当※4となるが、一体不可分な形で流通する。

※1 プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P7「2 医療機器に該当しないもの A 個人での使用を目的としたプログラム 1)データの加工・処理を行わない(表示、保管、転送のみを行う)プログラム ②」参照

※2 プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P8「2 医療機器に該当しないもの A 個人での使用を目的としたプログラム 3)利用者への情報提供を目的としたプログラム ①」参照

※3 プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P14「2 医療機器に該当しないもの C 一般医療機器(クラスⅠ医療機器)と同等の処理を行うプログラム ⑫のカッコ内ただし以降」参照

※4 プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P10「2 医療機器に該当しないもの B 医療関係者が使用することを目的としたプログラム 2)院内業務支援、メンテナンス用プログラム イ 院内業務支援プログラム ⑧」参照

- 解説 -

このプログラムは、患者が持つ端末にインストールされるアプリAと、医療従事者が持つ端末にインストールされるアプリBから構成されていて、そのアプリがネットワーク回線でデータを共有するものとなっています。

Aについては、日常的な生活の単なる記録を行うものであり、その部分については非該当です。また表示されるコーチングメッセージは個々の患者に最適化されたものではなく、一般的な情報提供の範囲であることから、この部分についても非該当となります。

Bのアプリは、Aのアプリで収集した情報を独自のアルゴリズムで分析して、インスリン投与量を決定することから治療計画・治療方法に対する支援であり、該当となります。
なお、AとBが一体不可分な形で流通する場合は、Aの記録がBの治療計画の策定に用いられることも含むので、AとBとで一体の製品として該当となります※5

※5 プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P7「2 医療機器に該当しないもの A 個人での使用を目的としたプログラム 1)データの加工・処理を行わない(表示、保管、転送のみを行う)プログラム ⑤参照」より

クイズ13

ケース C糖尿病運動療法プログラム。
医療機器に「該当」する?

糖尿病運動療法プログラム

使用者

医療従事者・患者

製品概要

糖尿病患者に対してHbA1cの低下を目的に、治療方針策定の支援や受診間のギャップを埋めることで治療の効率化を目的とするもの。個々の患者の疾病の状況や、目標歩数等、これまでの目標達成状況等から、医師により個々の患者に最適化された栄養療法・運動療法を支援する。栄養療法・運動療法の計画の立案や、栄養療法の支援としてメニューを提示したり、運動療法の支援として推奨される目標歩数を提示する。さらには助言・励まし等を提示する。

正解はこちら

該当

医療機器該当性の
判断のポイント

  • 糖尿病患者のHbA1cを低下させることを目的とし、行動変容を伴うプログラムである。※
  • 一般的な情報提供ではなく、個々の患者に最適化された情報を提供することから、患者によって治療方針が大きく異なるなど、患者へのリスクがある。

※   P5-6 「1 医療機器に該当するもの 5)疾病の治療・予防等のために、患者又は健康な人が使用するプログラム(行動変容を伴うプログラムなど)④」参照

- 解説 -

治療方針の策定や治療の支援として、個別化された栄養療法・運動療法を提示することから該当となります。助言・励ましの提示については、その内容が個別化されたものではなく、一般的な情報提供であれば、その部分だけを見れば非該当となります。ただし、1つのプログラムとして一体不可分となっている場合は、該当する機能が含まれていれば、全体として該当と判断されます。

クイズ14

ケース D患者向け糖尿病管理プログラム。
医療機器に「該当」する?

患者向け糖尿病管理プログラム

使用者

患者

製品概要

糖尿病患者の日常的な健康管理を目的とし、血糖測定器等から得られたデータや患者本人が入力したデータを管理するプログラム。入力されたデータの表示、保管、グラフ化や、一般的な統計処理により得られるデータを提示する。(いずれも治療、診断に寄与する指標は提示しない。)

正解はこちら

非該当

医療機器該当性の
判断のポイント

日常の健康管理を目的に、医療機器から得られたデータ記録及び管理することが目的である。また一般的な統計処理によりデータを提示するのみであり、治療、診断には寄与しない。

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P7「2 医療機器に該当しないもの A 個人での使用を目的としたプログラム 1)データの加工・処理を行わない(表示、保管、転送のみを行う)プログラム ②」参照

- 解説 -

同じ糖尿病を対象とするプログラムでも、これまでの事例で見てきたように、単なるデータの転送、記録、保管のみを行うものであれば、非該当となります。

クイズ15

ケース E健康診断結果関連情報提供プログラム。
医療機器に「該当」する?

健康診断結果関連情報提供プログラム

使用者

個人

製品概要
  • 個人の健康管理・維持を目的に、健康診断結果の電子的な保管・閲覧と、一般的な関連情報の提示を目的としたプログラム。
  • 入力された健康診断結果から、特定の集団の統計データと入力された検査結果を比較して、利用者の検査結果と類似した検査結果を有する者の集団における多因子疾患発症リスクを算出し表示する。例えば、似たような血液検査の結果を示した患者集団が、5年後に糖尿病を発症する確率を提示する。
  • 特定の個人に対する発症リスクは提示しない。つまり、プログラム利用者個人が5年後に糖尿病を発症する確率を示すものではない。

正解はこちら

非該当

医療機器該当性の
判断のポイント

  • 多因子疾患に関して、特定の集団の統計データと入力された検査結果を比較して、利用者の検査結果と類似した検査結果を有する者の集団の発症リスクを提示するプログラムである。
  • なお、利用者個人を特定して発症リスクを予測・判断する機能を有するプログラムは医療機器に該当する。

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P7「2 医療機器に該当しないもの A 個人での使用を目的としたプログラム 1)データの加工・処理を行わない(表示、保管、転送のみを行う)プログラム ②」参照、 P8「2 医療機器に該当しないもの A 個人での使用を目的としたプログラム 3)利用者への情報提供を目的としたプログラム ⑤」参照

- 解説 -

健康診断の結果を電子的に保管する機能、一般的な関連情報を示す部分については、まず非該当となることについては、ここまでの事例を読まれた方には明らかかと思います。

次に検討が必要なのは、検査結果の類似した患者集団が糖尿病を発症する確率を提示する部分です。将来の発症を予測することは、疾病の診断になるのでしょうか。ここでのポイントは、ある条件を満たす患者集団における発症リスクを提示しているのか、それとも、特定の個人の発症リスクを提示しているのか、の違いです。

このアプリのように、ある条件を満たす患者集団における糖尿病のような多因子疾患の発症リスクを示すプログラムの場合、それは疫学的な観点で統計データを示しているのみであることから、個人の疾病の診断ではなく、医療機器には該当しないと判断されます。

例えば、健康診断の検査項目A、B、Cがあったとして、その各々の数値が基準を超える人々の集団が、5年後に糖尿病を発症している割合は50%であるというような情報を提示する場合は、疫学的な統計データの提示をしていると考えられるので非該当となります。

あくまで集団における統計学的なデータを示すのみなので、利用者個々人の糖尿病の発症リスクなど、診断との誤認を与えるようなことはできません。

逆に、特定の個人の発症リスクを示すプログラムの場合は疾病の診断と考えられ、医療機器に該当します。

認知症を対象としたプログラム

クイズ16

ケース A認知症早期発見プログラム。
医療機器に「該当」する?

認知症早期発見プログラム

使用者

医療従事者

製品概要
  • アルツハイマー型認知症の早期発見・早期診断を目的とするプログラム。
  • 被験者の歩行の様子をスマートフォンで撮影し、独自のアルゴリズムで、その映像を解析する。認知症と関連して歩行時に出現する特徴を検出することで、認知症を早期に発見する。

正解はこちら

該当

医療機器該当性の
判断のポイント

  • 認知症の早期発見・早期診断を目的としている。

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P1-2「1 医療機器に該当するもの 1)入力情報を基に、疾病候補、疾病リスクを表示するプログラム ⑤」参照、 P2-3「1 医療機器に該当するもの 2)医療機器等で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム ⑤」参照

- 解説 -

このプログラムは、歩行の様子を独自のアルゴリズムで分析することで、認知症の診断を目的としていることから、該当と判断されます。

クイズ17

ケース B認知症、MCIスクリーニングプログラム。
医療機器に「該当」する?

認知症、MCIスクリーニングプログラム

使用者

医療従事者

製品概要

被験者に課した認知機能に関する試験の結果を独自のアルゴリズムで分析し、MCI(Mild Cognitive Impairment、軽度認知障害)や認知症のスクリーニングを目的としたプログラム。

正解はこちら

該当

医療機器該当性の
判断のポイント

MCIや認知症のスクリーニングを目的としている。

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P1-2「1 医療機器に該当するもの 1)入力情報を基に、疾病候補、疾病リスクを表示するプログラム ⑤」参照

- 解説 -

このプログラムも、課題の結果を独自のアルゴリズムで分析することで、MCIや認知症のスクリーニングを目的としていることから、該当と判断されます。スクリーニングは、疾病の診断の一部分と考えられます。

クイズ18

ケース C認知症診断支援プログラム。
医療機器に「該当」する?

認知症診断支援プログラム

使用者

医療従事者

製品概要

独自に開発した質問項目の回答結果から、認知症の病態及び重症度を測定するプログラム。

正解はこちら

該当

医療機器該当性の
判断のポイント

独自の質問項目を用いて、認知症の診断を行う。

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P1-2「1 医療機器に該当するもの 1)入力情報を基に、疾病候補、疾病リスクを表示するプログラム ⑤」参照

- 解説 -

このプログラムは、独自の質問項目を用いていることから、その解析手法も独自のアルゴリズムになると考えられ、かつ、それを用いて疾病の診断を行うことから該当と判断されます。

クイズ19

ケース D認知機能評価プログラム。
医療機器に「該当」する?

認知機能評価プログラム。

使用者

医療従事者

製品概要

通常の診療において実施される認知機能検査の結果を元に、独自のアルゴリズムで認知機能の評価をして、認知障害の可能性を評価する。認知障害があると判断された場合、精密な認知検査をするように勧める。

正解はこちら

該当

医療機器該当性の
判断のポイント

通常診療の結果に対して、独自のアルゴリズムで評価を行い、認知機能の障害に関するスクリーニングを行うプログラムである。

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P1-2「1 医療機器に該当するもの 1)入力情報を基に、疾病候補、疾病リスクを表示するプログラム ⑤」参照

- 解説 -

通常の診療における検査結果を独自のアルゴリズムで評価して、認知障害の診断に用いるものであることから該当となります。なお、認知症であるとの判断までは行わないものであっても、認知症の疑いを示し、受診や検査を勧めるものは、疾病の診断の一部分と考えられることから該当となります。

クイズ20

ケース E認知機能検査プログラム。
医療機器に「該当」する?

認知機能検査プログラム

使用者

医療従事者

製品概要
  • 認知機能検査として公知であるMoCA-Jに基づいて患者に問題を出題し、結果スコアを集計したものを医師に提示することで、認知機能を評価するプログラム。
  • 被験者が回答できたかどうかの判断は医療従事者が行う。
  • 新たな検査方法ではなく、また新たな判断指標を提示するものでもない。

正解はこちら

非該当

医療機器該当性の
判断のポイント

認知機能について公知の情報を基に点数化していき、結果を医師に提示するのみで、疾病の診断は行わないプログラムである

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P9「2 医療機器に該当しないもの B 医療関係者が使用することを目的としたプログラム 1)医療関係者、患者等への医学的判断に使用しない情報提供のみを目的としたプログラム ⑤」参照、プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P10「2 医療機器に該当しないもの B 医療関係者が使用することを目的としたプログラム 2)院内業務支援、メンテナンス用プログラム イ 院内業務支援プログラム ⑨」参照

- 解説 -

認知機能検査として広く標準的に行われているMoCA-Jを電子化したものであり、結果スコアを医師に提示するものです。結果スコアは診断・治療ガイドライン等の公知の情報によらない新たな判断指標などではなく、各個別課題の点数を足し合わせただけで、独自のアルゴリズムによる評価などでもありません。30点満点中26点以上が正常な範囲とされており、その基準も公知です。そのため、非該当となります。

クイズ21

ケース F認知機能検査プログラム。
医療機器に「該当」する?

認知機能検査プログラム

使用者

医療従事者

製品概要
  • 通常の認知機能検査で用いられるMoCA-Jをベースとするが、そこに独自の新たな問題内容を追加し、独自の検査方法で認知機能を評価する。
  • 医師はその結果を参考にして認知機能評価を行う。

正解はこちら

該当

医療機器該当性の
判断のポイント

公知の認知機能評価法を基にしているが、独自の新しい問題内容を追加しており、独自の検査方法で診療のために認知機能評価を行っている

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P9「2 医療機器に該当しないもの B 医療関係者が使用することを目的としたプログラム 1)医療関係者、患者等への医学的判断に使用しない情報提供のみを目的としたプログラム ⑤」参照

- 解説 -

ケースEと同様に通常の認知機能検査で用いられるMoCA-Jを使用しますが、このプログラムではMoCA-Jをベースに、そこに独自の新たな問題を追加していることから、独自のアルゴリズムによる認知機能の評価となり、該当となります。

クイズ22

ケース G脳年齢テストプログラム。
医療機器に「該当」する?

脳年齢テストプログラム

使用者

健康な個人

製品概要
  • 数字の記憶、単語の記憶、視空間認知、実行機能、思考・類推に関するテストを行い、得られた結果を基に健常者と比較した偏差値や脳年齢と称する指標を表示する。
  • 脳年齢と称する指標は、現状の日本における標準的な診療において、何らかの医学的な指標と関連付けられてはおらず、疾患の診断やスクリーニングのための指標ではない。

正解はこちら

非該当

医療機器該当性の
判断のポイント

  • 脳年齢と称する指標は、現状の日本における標準的な診療において使用されるものではない。
  • その指標について、特に病気などではない健康な集団に対する偏差値を評価するのみのプログラムである。
  • 疾病名や患者に最適な治療薬を選択できる等の標榜を行った場合や、結果に応じて認知機能に問題がないと表示を行った場合は、薬機法に抵触するおそれがある。

※   プログラムの医療機器該当性判断事例について別添, P8「2 医療機器に該当しないもの A 個人での使用を目的としたプログラム 2)運動管理等の医療・健康以外を目的としたプログラム ③」参照

- 解説 -

このプログラムは独自のテストを行い、特に病気などではない健康な集団に対する偏差値を示し、また独自のアルゴリズムで算出した脳年齢と称する指標を提示します。独自のテストや独自のアルゴリズムということから、ここまで読まれた方は該当と考えられるかもしれませんが、このプログラムは非該当と判断されます。

なぜならば、脳年齢と称される指標は、現在の日本では標準的な診断指標として用いられているものではないからです。そのため疾病の診断を目的とはしていないため、非該当となります。

疾病の診断ができるような指標ではないことから、この指標を元に認知症の診断ができる、あるいは、最適な治療薬の選択ができる等といった標榜を行うことはできません。

では逆に、認知機能に問題がないといった表示はどうでしょうか。認知機能に問題がないという表示をすることは、認知機能に問題がある状態、例えば認知症やMCIではない、と判断していると言えます。
つまり、疾病でないと判断することも疾病の診断の一部分と考えられることから、そういった標榜を行うこともできません。

以上、糖尿病と認知症・MCIを対象としたプログラムが、どのような処理を行ったり、どのような情報を提示したりしたときに、該当だったり非該当だったりするかという解説を行いました。

ここで示した事例は、あくまで想定であり、個別具体的な製品に当てはめたときに、対象とする疾患の種類や使用方法、標榜などによって該当性の判断が変わりうるものであることには注意してください。

最終的な判断については、該当・非該当が明らかである場合を除いては、SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)にメール相談することを推奨します。相談窓口はこちら

その際は、事前情報整理用フォームを使って、どの点で該当性の判断に迷うのか、疑問点を明らかにしておくことが重要です。

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