薬機法やルール等を
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薬機法やルール等を理解する
プログラム開発では、医療機器・非医療機器の判断(医療機器への該当性判断)が大切
「医療機器該当性」という言葉を聞いたことはありますか?
開発予定あるいは開発中の製品またはプログラムが、医療機器に該当するのか。それとも医療機器に該当しない(非医療機器に該当する)のか。この医療機器カテゴリーに当てはまるかどうかを判断することを、「医療機器該当性の判断」と呼んでいます。
事業者にとって、この参入カテゴリーの違いは、開発期間だけではなく、導入のハードルといった事業性にも関係してきます。プログラムが医療機器に該当する場合は、薬機法の規制を受けることになります。
ただし、医療機器に該当しないプログラムだとしても、景品表示法や特定商取引法などの別の法律による規制を受ける可能性がありますので、その点は注意しましょう。
また、プログラムの医療機器への該当性判断は、使用者、使用目的、データ処理方法などによって異なります。そのため、プログラムの開発コンセプトや仕様などをクリアにしておく必要があります。それらが曖昧だと判断が難しい場合がありますので、後ほど説明する事前情報整理フォームなどの活用もオススメです。
そもそも医療機器ってなに?医療機器の基本的な考え方とは
薬機法上、医療機器とは、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるもの」と説明※1されています。
この考え方を元に、人体へのリスクによって医療機器を3つに分類しています。その分類が、「一般医療機器」、「管理医療機器」、「高度管理医療機器」になります。さらに、これらの分類に対応した医療機器のクラス分類(クラスⅠ~Ⅳ)が厚生労働省から通知されています。※2
プログラムも「医療機器への該当性判断」の対象
プログラムのうち、医療機器としての目的性をもち、かつ、意図したとおりに機能しない場合に患者(または使用者)の生命及び健康に影響を与えるおそれがあるプログラム(ソフトウェア機能)は、薬機法上、医療機器プログラム※3として扱われます。
つまり、プログラムであっても、医療機器の基本的な考え方等に基づいて、薬機法の規制を受ける可能性があります。
ですので、開発予定あるいは開発中のプログラムが、医療機器に該当するのか。それとも医療機器に該当しない(非医療機器に該当する)のか。事業者として、プログラムの「医療機器への該当性判断」について、しっかり理解を深めておかなければなりません。
詳しくは、医療機器プログラムとは?をご確認ください。
医療機器・非医療機器の違いってなに?
医療機器に該当するかどうかで、製品の出口戦略が大きく変わります。医療機器で発売するのか?あるいは非医療機器で発売するのか?これによって、事業戦略や開発コンセプトが変わってくると言えます。
以下は、参入カテゴリーの違いにより、主に影響がでてくる項目です。
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承認・認証・届出※ (※プログラムを除く)
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広告規制(薬機法・業界ルール 等)
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ビジネスモデル(保険制度 等)
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エビデンスの構築(治験・臨床研究 等)
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事業要件(製造販売の業許可・規格 等)
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国際展開 など
医療機器プログラムとは?
プログラムも、「医療機器への該当性判断」の対象であるとの説明をしましたが、覚えていますか?事業者は、医療機器の考え方等はもちろん、医療機器プログラムについての規制も学んでいかなければなりません。それが、以下の2つです。
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プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について※4
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プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン※5
ここでは、まず医療機器プログラムの範囲、基本的な考え方について理解していきましょう。ただし、規制やガイドラインは今後変更される可能性もありますので、最新の関連法規やガイドラインについては、各事業者でご確認ください。
医療機器プログラムの範囲は?
医療機器としての目的性をもち、かつ、意図したとおりに機能しない場合に患者(または使用者)の生命及び健康に影響を与えるおそれがあるプログラム(ソフトウェア機能)は、医療機器プログラムとして扱われると説明しました。
プログラムは、プログラム単体(ダウンロードなどで販売される実行ファイル)はもちろん、プログラムを記録した記録媒体として流通するプログラム※6も、医療機器該当性の判断の対象となります。医療機器と医療機器プログラムの関係性については、以下の図を参考にしましょう。
なお、「副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除く」と併せて規定されており、具体的には「その機能等が一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するものについては、医療機器の範囲から除かれます。」とされています。
このことから、医療機器プログラムだとしても、医療機器に関する基本的な考え方だけにとどまらず、ハードウェアの医療機器開発を行う事業者と同じように深い専門的な知識やスキルが求められていることを理解しておきましょう。
医療機器プログラムの基本的な考え方は?
医療機器プログラムは、以下と説明されています。
医療機器プログラムは、疾病の診断、治療または予防に寄与するなど、医療機器の定義に該当する使用目的を有しているプログラムであって、それをインストール等することによってデスクトップパソコン等の汎用コンピュータまたはスマートフォン等の携帯情報端末に医療機器としての機能を与えるもの、あるいは既存の医療機器にインストール等することで医療機器の機能を追加・拡張するものです。
したがって、医療機器プログラムが意図したとおりに機能しない場合※7には、患者(または使用者)の生命および健康に影響を与えるおそれがあり、有体物※8である医療機器と同様の潜在的リスクを公衆衛生に及ぼす可能性があります。
なお、汎用コンピュータ等を利用して既存の医療機器を操作するプログラムは、原則、操作対象の医療機器に含めたものとして取り扱われる必要があります。
該当性の基本的な考え方
特定のプログラムが、薬機法上の医療機器に該当するかについては、当該プログラムの使用目的およびリスクの程度が、医療機器の定義に該当するかにより判断されます。また、プログラムの提供者等による
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当該製品の表示
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説明資料
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広告等
も該当性の判断に影響します。また、汎用機器(Web カメラのセンサなど)と連動して医療機器としての機能を発揮するようなプログラムでは、プログラムと汎用機器を一体の製品として見たときに、医療機器の定義を満たすか否かにより判断されます 。
同じ機能をもつプログラム
例えばデータの転送を行うという同じ機能でも、転送されたデータの使用目的が異なれば、医療機器への該当性判断は異なる可能性があります。このため、開発の初期、企画段階においても、どのような表示等を行うかを含め、プログラムの使用目的を十分に検討する必要があります。
複数の機能をもつプログラム
複数の機能をもつプログラムの少なくとも1つの機能が医療機器プログラムの定義を満たし、1つのプログラムとして流通する場合、全体として医療機器としての流通規制を受けることになります。この場合、医療機器ではない機能が、医療機器としての承認または認証範囲に含まれるような誤認を利用者に与えないようにする必要があります。
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医療機器ではない機能を、医療機器であると誤認させるような表示や広告等を行わない
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「医療機器の定義を満たす機能」と「医療機器ではない機能」との適切な区別が分かるようにする など
汎用コンピュータ等のWeb カメラ等の内部または外部センサ(以下「汎用センサ等」)と連動して、医療機器としての機能を発揮するプログラム
汎用センサ等を含めた一体の製品として見たときに、医療機器の定義を満たすか否かにより判断されます。
一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するプログラム
副作用または機能の障害が生じた場合でも、人の生命および健康に影響を与えるおそれがほとんどないプログラムは、医療機器の範囲から除かれます。