開発目的や目標を
整理しよう

開発目的や目標を整理する

使用者・使用目的などの開発コンセプト、データ処理方法などを明確にする

ここまで薬機法やルール等を理解するために、医療機器や医療機器プログラムの基本的な考え等を中心に学んできました。

それでは、医療機器プログラムにおける「医療機器への該当性判断」は、どこをポイントに判断されるか、覚えていますか?おさらいになりますが、使用者、使用目的、データ処理方法などによって、医療機器への該当性判断が変わります。

そのため、事業者はプログラムを誰に使ってもらうのか。どんな目的で使ってもらうのか。それを実現するために、どのようなデータ処理を行うか。など、プログラムの開発コンセプト等をきちんと整理しておく必要があります。

ここでは、開発予定または開発中のプログラムの「医療機器への該当性判断」に向けた事前準備として、必要な知識と整理すべきポイントについて学んでいきましょう。

事前準備 [知識]

プログラムの開発コンセプトにおいて、以下の項目は想定されていますか。

プログラムの「医療機器への該当性判断」に向けて、事業者が想定している使用者、使用目的、処理方法などについて、確認や整理、精査等を行っていきましょう。

判断のために明確にすべき項目の例

  • プログラムの構成、提供方法

    • プログラムは単体で流通(電気通信回線を通じて提供(ダウンロードして提供される、オンラインで運用されるなど)、記録媒体により提供)するか
    • プログラムは有体物と一体の製品として流通するか
    • 併用する機器、併用するプログラムの有無
  • プログラムの使用者

    • 医療関係者の管理下ではない利用者(患者・健康な人・患者家族等)
    • 医療関係者の管理下の利用者(患者・健康な人・患者家族等)
    • 医療関係者
  • プログラムの使用目的または効果

    • 健康情報の管理
    • 運動管理
    • 医学的判断に使用しない情報提供
    • 院内業務支援、メンテナンス
    • 疾病の診断・治療・予防
    • 治療方針、治療計画等の策定又は支援
    • 他の医療機器の制御
  • プログラムが行う処理方法

    • データの表示、保管、転送
    • 診断以外を目的としたデータの加工・処理
    • (入力情報を基に)疾病候補、罹患リスクの表示
    • (入力情報を基に)推奨治療方法を提示
  • 同一の機能を有する医療機器の有無

  • 処理のアルゴリズム

    • 診断・治療ガイドライン等の公知の情報に従った処理を行うもの
    • 独自のアルゴリズムで処理を行うもの
    • 一般人が容易に検算できる四則演算程度の計算を行うもの
    • アルゴリズムが何を根拠としているかを使用者が認識することができ、使用者がその妥当性を検証可能な状態にあるかどうか
    公知の情報とは?

    日本国内において、医学薬学栄養学上、科学的な根拠が十分あるものとして⼀般的に認知されている情報を指します。

    単に公表されていることのみをもって、「公知」とは判断されません。

    公知情報の例
    • 医学教科書や、国内の医学会により作成された診療ガイドライン等において、標準的な治療と認められているもの
    • 国外の医学会により作成された診療ガイドライン等に記載されているものであって、国内の医学会において国内における標準的な治療と認められているもの

事前準備 [情報整理]

これまでの知識編で、プログラム開発時の情報整理や精査などにおいて、決めなければならない項目を理解してきました。開発予定または開発中のプログラムについて、想定できていなかった項目はありませんでしたか。

想定した項目や仕様をもとに、プログラムの「医療機器への該当性判断」を事業者で行っていくことになりますが、どうしても判断が難しい場合がでてくるかもしれません。その場合は、専門の相談窓口である独⽴⾏政法⼈医薬品医療機器総合機構(PMDA)のSaMD一元的相談窓口にて相談を受け付けており、原則、メール相談です。

適切な回答をもらうためにも、「該当性判断」の根拠となる情報や項目を準備しておく必要があります。そこで、抜け漏れなどがないように「該当性相談様式の記入に向けた事前情報整理フォーム」が用意されています。専門の相談窓口にメールする際には、ダウンロードしてご活用ください。

事前情報整理フォーム

11.項目「一般的名称」の調べ方

フォーム内の11では、同一または類似の機能をもつ医療機器(プログラムを含む)がある場合に、「一般的名称」の記載が求められています。一般的名称とは、医療機器の分類の単位の最も小さな単位で、この一般的名称に紐づいて、その医療機器の定義や、標榜できる使用目的・効果、クラス分類などが決まります。

「一般的名称」の調べ方については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医療機器等基準関連情報サイト内にある「一般的名称検索」ページから検索ができます。

PMDA 医療機器等基準関連情報サイト

現在、類別がプログラムであるもの(一般的名称に「○○プログラム」と掲載されているもの)については、189 種類存在しています。

※   令和5年12月13日現在 疾患診断用プログラム170種類、疾患治療用プログラム19種類

類似機能のプログラムは、
すでに承認・認証された
「一般的名称」で審査される?

例えば、ここに現在開発中の「疾病診断用プログラム」があるとし、競合他社からはすでに「類似の機能をもつ疾病診断用プログラム」が発売されていたとします。

競合他社のプログラムには「疾病診断用プログラム」に含まれる「一般的名称」が設定されているはずです。これから競合他社と同等の使用目的や機能をもたせて「疾病診断用プログラム」を開発する場合には、競合他社と同じ品目である「一般的名称」で審査されることになります。

もし別の機能を持たせる場合には、該当する品目である「一般的名称」を特定あるいは探す必要があります。さらにもし、類似する一般的名称が存在しない場合には、新しく「一般的名称」が作られる場合もあります。

以上より、開発プログラムについて、相当する一般的名称がすでに存在する場合は、当該開発プログラムは、原則として、相当する一般的名称の医療機器に該当します。また、開発プログラムの仕様や使用目的が、有体物たる一般医療機器(クラスI医療機器)の一般的名称定義欄に該当するプログラムであれば、当該プログラムは医療機器としての規制対象とはなりません。

TOPへ