リリース時に注意しよう
リリース時に主に注意すべき2つのポイント
プログラムの「医療機器への該当性判断」について、これまで順を追って説明してきました。事業者は、プログラム開発が終わったからといって安心はできません。開発後には、市場導入のための準備が待っています。流通、価格、営業、コミュニケーションなど、設定や体制づくりなど含めて、検討や準備をしていくことになります。
ここでは主に、リリースに向けて代表的なポイントを2つ挙げておきますので、押さえておきましょう。
1. プロモーションなどの訴求内容・広告規制に気をつける
医療機器で発売するのか?あるいは非医療機器に発売するのか?によって、製品の出口戦略が変わるという話を覚えていますか。
医療機器の場合は、コンタクトレンズなど一部の医療機器を除いて、原則、医療従事者にしか訴求ができません。また、使用目的・効果などは承認・認証や届出の範囲でのみしか標榜できません。クラスI医療機器相当のプログラムであれば、医療機器としての規制対象外となりますが、クラスII 以上の医療機器との認識を与える標榜などを行った場合、薬機法第68条等の広告規制に抵触するおそれがあります。
一方、非医療機器の場合は、一般向けに訴求ができます。ただし原則、効果などの標榜はできず、景品表示法などの規制を受けるので、プロモーションの作成時には十分な注意が必要です。
医療機器に該当しない場合
医療機器ではないものについて、医療機器と誤認させるような製品が流通することは、保健衛生上の観点から好ましくないとされています。事業者は、医療機器ではないプログラム※1については、利用者による誤解を防ぐために、「当該プログラムは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としていない」または「当該プログラムは医療機器ではない」旨の記載や表示※2を行うようにしましょう。
医療機器と誤認させないように明記する
一般医療機器(クラスI 医療機器)相当のプログラムの場合
有体物として一般医療機器が存在する医療機器と同等のプログラムの場合
事実の範囲内で、当該有体物と同等の性能等を標榜することができます。
有体物の一般医療機器が存在しないものの場合
個別の判断により、一般医療機器相当の性能等を標榜することができます。ただし、どちらの場合も以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
-
医療機器であるという誤解が生じないよう留意すること
-
医療機器でないことを明記すること
-
管理医療機器または高度管理医療機器に相当する使用目的または効果、性能等は標榜しないこと
また、ここでは「プログラム医療機器 クラスⅠ品目の取り扱いについて※ 」にて一般医療機器(クラスI 医療機器)相当の場合に、どこまで標榜ができるのかの具体例を紹介していますので、参考にしましょう。
一般医療機器(クラスI 医療機器)相当の場合の表記例
本プログラムは、「クラスI相当の医療機器プログラム」です。
クラスI相当は、医療機器ではないので表記できません
本プログラムは、「クラスI相当の単体プログラム」です。
誤解を与えない表現なので表記できます
本プログラムは、厚労省により「クラスI相当」の医療機器非該当と確認済みです。
クラスI相当の性能を有することの確認を受けたと誤認させる表現です。厚労省はそのようなことは確認しないので、確認済みということは言えません
本プログラムは、厚労省のプログラムの医療機器該当性相談において「クラスI相当」と判断された非医療機器です。
クラスI相当の性能を有すると判断されたと誤認させる表現です。 厚労省はそのようなことは確認しないので、確認済みということは言えません
本プログラムは、疾病の診断・治療・予防を目的としておりますが、厚労省相談確認済みの「クラスI相当非医療機器」です。
本プログラムが直接的に疾病の診断/治療/予防を行うことが可能であり、クラスⅡ以上の機能を有すると誤認を与える表現です。また、クラスⅠ相当の性能を有することの確認を受けたと誤認させる表現については 、厚労省はそのようなことは確認しないので、確認済みということは言えません
ただし、目的に関する部分については事実なら表記できますが、以降の例も参考に誤解を与えない表現としましょう
本プログラムの使用目的は、「〇〇症の診断支援プログラム(クラスI)」です。
例のように、使用実態全体でみて、誤解を与えない表現であれば表記できます
例)視力表(クラスI 医療機器)相当のプログラムです
本プログラムの使用目的は、「〇〇機能(身体機能)を客観的に評価すること(クラスI)」です。
例のように、使用実態全体でみて、誤解を与えない表現であれば表記できます
例)睡眠障害の評価を行うために、体動のみを検出すること(クラスI)です
2. 適正使用を広める活動を十分に行う
営業活動でプログラムの使用方法を紹介する際や、製品の導入後にプログラムを実際に使う際には、利用者に適正使用を促すことが非常に大切です。特に、医療機器に該当するプログラムの場合は、利用者が事業者の想定外の目的で使用すると、人体へのリスクに繋がる可能性もあります。ですので、事業者は、使用対象者や適切な使用目的について、十分な情報周知を行うことが必要です。
情報周知の方法については、プログラムのリスクに応じて決めるようにしましょう。
例)自己学習、オンライントレーニング、対面研修など