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臨床工学技士国家試験 出題基準について

※令和3年版臨床工学技士国家試験出題基準の訂正について

改定にあたって

 「臨床工学技士国家試験出題基準」は前回公表からすでに10年を迎えるところとなりました。「医療スタッフの協同・連携によるチーム医療の指針について」が発出され、臨床工学技士が実施できる新たな行為が示されたことから、「臨床工学技士業務指針2010」が策定され、さらに、医療法、薬事法の改正により、「医療管理体制の充実」、新しく「院内感染防止体制の義務化」に対して、臨床工学技士がその任に当たることが求められる等の状況を勘案し、本出題基準の改正公表に至りました。
 医療の分野は目まぐるしく変化しており、技術革新とともに医療機器も日々高度化しています。これらにより、機器の操作、修理も益々の困難さを生じており、医療現場で医学的工学的な最新の知識が求められる現状において、臨床工学技士は医療機関では欠かせない存在となっています。さらに、医師の働き方改革に伴い、他職種へのタスクシフティング等も検討されている状況において、医療の多様化とその要求に応えることが臨床工学技士には強く求められています。

 臨床工学技士は、臨床工学技士法第2条第2項に「医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者をいう」と規定されています。国家試験において必要な知識並びに技能を備えていることが確認され、適切と判定された者が臨床工学技士としての資格を取得いたします。その資格取得後、生涯教育として、医療機関でさらなる研鑽を積み、多様化する医療技術に対応できるように育っていくという過程において、その基本となる卒前教育の確認が重要であり、卒前教育にどこまで期待しこれを確認するのかという観点から、我々は、国家試験問題の在り方を考え、問題作成に取組んできました。「臨床工学技士国家試験出題基準」はこれまで制度上の大きな改正等は生じてはおりませんが、一定の経過年数に伴い、当国家試験出題基準につきましても、いくつかの課題が生じ、その見直しの必要性があげられました。
 試験解答状況の詳細な検証作業などを含めた検討の中から、以下の点が課題として挙げられました。すなわち、

  1. 重要な事案であり、より深く学ぶことが必要と考えられる事案であるか。
  2. 試験委員が議論した内容とは異なるように理解されている可能性のある内容ではないか。
  3. 臨床現場に出てから習得すべき内容ではないか。むしろ、そのために必要な基本的な内容であるか。
 などであります。
 それらの課題に対処すべく、これまでの出題基準にある「大項目」「中項目」「小項目」の各項目について、具体的な見直しを図るとともに、以下の点についても配慮いたしました。
  1. 小項目の項目内容が大きすぎて分かりづらくないか。
  2. 小項目をより具体的に説明する必要はないか。

 以上を勘案し、本出題基準では、小項目をより具体的に理解するために必要となる内容を示すこと、さらに細目としてどこまで学ぶべきものなのかをより具体的に示す観点から、小項目の次に「備考」を設けて掲示することにより、重要な事項や補足的な説明等を明示しました。

 このように、臨床工学技士として必要な知識並びに技能を備えていることを確認するにあたり、新しい臨床工学技士国家試験出題基準を示す必要があることから、この改正の運びとなりました。

 改訂した出題基準については「令和3年版臨床工学技士国家試験出題基準」として公表し、令和4年3月実施の国家試験から適用いたします。

令和2年11月

臨床工学技士国家試験出題基準作成委員会
委員長  吉野 秀朗